仮想通貨の資金洗浄か 流出事件から1年で動き活発化

ちょうど1年前の1月26日、580億円相当の仮想通貨が流出するという前例のない事件が起きました。いまだ犯人の検挙には至っていませんが、インターネット上では、先月から流出した仮想通貨の資金洗浄とみられる動きが活発化していることがわかり、こうした動きから犯人の手がかりが得られるか注目されている。

去年1月、大手交換会社「コインチェック」から、NEMと呼ばれる仮想通貨580億円相当が流出した事件をめぐっては、発生から1年がたった今も、インターネット上で取り引きの記録が公開される仮想通貨の仕組みを利用して、専門家らが追跡を続けている。

このうち、筑波大学の面和成准教授らの研究チームによりますと、流出した仮想通貨の多くは、去年3月までに何者かによって闇サイト上の交換所に持ち込まれ、別の3種類の仮想通貨に交換されたという事だ。

このうちの1つの「ビットコイン」をさらに追跡したところ、去年6月までに、およそ180億円相当がインターネット上にある7つの口座に集められ、その後、半年ほど動きが止まっていた。

先月15日以降、このうちの2つの口座で再び動きが活発化し、25日の時点で800万口余りに上る膨大な数の口座に分散されたという事だ。

これは何者かが資金洗浄を図っているとみられ、その際の通信の状況や現金に交換する動きから、犯人につながる手がかりが得られる可能性があるという事だ。

面准教授は「犯人が現金化を急いでいる可能性がある。事件から1年たって出てきた動きをチャンスと捉え、分析や追跡を強化する必要がある」と話している。

相場は大きく下がる

仮想通貨をめぐっては、投機目的の購入が相次いで、取り引き相場が高騰する状態にありましたが、大規模な流出事件が相次いだことなどから相場が大きく下がっている。

筑波大学の面和成准教授らの研究グループによりますと、代表的な仮想通貨である「ビットコイン」の取り引き価格は、事件後、今月25日までの1年間に3分の1に下がっている。

事件で流出した「NEM」の取り引き価格は、16分の1に暴落している。

ブロックチェーンの技術開発進む

市場が縮小する一方で、仮想通貨が生み出した技術は、データのやり取りの在り方を大きく変える可能性があるとして、世界の研究者の間で注目を集めている。

仮想通貨の最大の特徴は、一元的な管理組織がなく、すべての取り引き記録をインターネット上で分散して管理する「ブロックチェーン」と呼ばれる技術にある。

東京・港区に拠点を置くベンチャー企業は、ブロックチェーンを応用し、インターネットに接続される「IoT機器」の安全性を高める技術を開発している。

医療機器や自動運転車など、膨大かつ機微なデータのやり取りが増える中、低いコストで安全性を保つには、ブロックチェーンの分散型のシステムが最適として、小さな機器でも動くソフトを開発し、スマートウオッチなどを使った実証実験にも成功したという事だ。

こうした技術開発は、大手電機メーカーや大学でも盛んになっていて、今週、滋賀県で開かれた情報セキュリティーや暗号に関する学会でも、専門の部会が複数設けられ、活発に発表が行われていた。

ベンチャー企業「Keychain」の三島一祥さんは「情報セキュリティーに加え、プライバシーへの関心も高く、ブロックチェーンは解決策として期待されている。仮想通貨のバブルが過ぎ去り、本当に使える技術が何かがわかるようになってきて、生活を変える技術が続々と出てくるだろう」と話している。

専門家「事件の教訓生かして」

筑波大学の面和成准教授は、今回の流出事件を機に、この1年で仮想通貨の技術の課題が見えてきたとしたうえで、「もうこの技術がダメなのかというとそうではなくて、今後は仮想通貨にとどまらず、さまざまなサービスがブロックチェーン上で動いていくことが期待される。事件の教訓を生かしてセキュリティーを強化することで、総合的な技術力が高まり、日本の技術力を世界にアピールしていける」と話している。

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