EU=ヨーロッパ連合からの離脱の是非を最大の争点とするイギリスの総選挙は12日、各地で投票が行われています。ジョンソン首相率いる与党・保守党が単独で過半数を確保し来月の離脱に道筋をつけるのか、有権者の判断が注目される。

イギリスでは12日、議会下院の650議席を争う総選挙の投票が各地で行われている。

選挙はEU離脱の是非が最大の争点となり、保守党が単独で過半数を確保した場合はジョンソン首相がEUと合意した離脱条件が議会で承認される見通しが立ち、来月の離脱に道筋がつくことになる。

一方で与党が過半数に届かない場合は保守党が少数与党として政権運営を強いられることになり、来月の離脱の見通しは立たなくなるほか、政権交代で労働党主導の政権となった場合離脱の行方は再び国民投票に委ねられる可能性が出てきいる。

選挙戦では当初、保守党が大きくリードしていましたが、労働党が徐々に差を詰め、最新の世論調査では保守党が43%、労働党が34%となっている。

投票は現地時間の12日午後10時、日本時間の13日午前7時に締め切られたのち即日開票され、13日午後には大勢が判明する見通しだ。

投票所には有権者が続々と

ロンドン市内の学校に設けられた投票所には弱い雨が降り、辺りがまだ暗いなか、現地時間午前7時の投票開始に合わせて大勢の有権者が訪れ、1票を投じていた。

このうち建築家の50歳の女性は「EU離脱を巡って不安定な状況が長く続いているので、早く決着をつけてほしいです。大切な歴史的な選挙です」と話していた。

病院に勤務する51歳の男性は「EU離脱の問題を片づけることが必要であり、選挙の最大の争点です。イギリスはEUにとどまるべきだし、そうすることでより強いイギリスでいられると思います」と話していた。

60歳の女性は「4年近くも混乱が続いているEU離脱について早く決着をつけて、前に進まなければなりません」と話していた。

このほか若い男性は「正直、また選挙をするなんてうんざりしています」と話し、足早に去って行きました。

ジョンソン首相も

ジョンソン首相も
投票開始からおよそ1時間半後の現地時間午前8時半ごろ、与党・保守党のジョンソン首相が犬を連れてロンドン市内の投票所を訪れた。

投票所から出てくると、集まった報道陣に笑顔で手を振り、立ち去りました。1票を投じたものとみられる。

コービン党首も

コービン党首も
最大野党・労働党のコービン党首は妻とともにロンドン市内の投票所を訪れ、支持者たちと握手を交わした後、建物の中へと入っていった。

投票を終えたコービン党首は集まった報道陣からどんな選挙結果を期待するかと問われると、「すばらしい勝利だ」と答えていた。

各党党首が相次ぎツイート

投票日をむかえたイギリスでは各政党の党首がツイッター上で投票を呼びかけている。

このうち与党・保守党の党首、ジョンソン首相は自分の顔写真とともに、「きょうがEUからの離脱を実現させるチャンスの日だ。われわれは国民投票の結果を尊重する。保守党に投票を」などとコメントしている。

一方、イギリス国内の医療制度などの問題を選挙の争点としている最大野党・労働党のコービン党首は「投票に行く前にこのビデオを見てほしい」というコメントとともに、がんをわずらって治療を続けている27歳の女性の映像を掲載している。

労働党は、保守党が勝利し、イギリスがEUから離脱すれば、財源を税金でまかない、必要な医療サービスを原則として無料で提供している国民保健サービスが立ちゆかなくなるおそれがあるなどと主張している。

最大の争点 EUからの離脱の是非

選挙の最大の争点は、EUからの離脱の是非です。具体的にはジョンソン首相がEUと合意した内容で離脱するのかどうかが焦点となる。

ジョンソン首相が率いる保守党としては、選挙で保守党が過半数を確保した場合、クリスマス前には議会で離脱に関連する法案の審議にとりかかり、来年1月末に離脱すると主張している。

一方、最大野党の労働党は総選挙で政権交代に持ち込み、ジョンソン首相の思惑を阻止したい考えです。

労働党は対案として、EU側と離脱条件について再度交渉を行い、3か月以内に新たな合意を結ぶとしています。そのうえで6か月以内に「新たな条件のもとでの離脱」と「EUへの残留」を選択肢にして2度目の国民投票を行うと主張している。

ただ労働党はEU離脱について明確な態度を示していません。

第3党のスコットランド民族党と第4党の自由民主党はEU残留の立場を明確に打ち出し、労働党との違いを鮮明にしている。

また今回の選挙には保守党より強硬な立場で離脱を主張する「離脱党」も候補者を擁立している。

大手調査会社の「YouGov」がことし11月に行った調査によりますと、有権者が重視している政策は、
▽「EU離脱」が最も高く全体のおよそ6割に達している。
このほかの政策では
▽「医療」がおよそ4割、
▽「環境対策」がおよそ3割、
▽「犯罪対策」、「経済」がいずれもおよそ2割台となっている。

選挙後のシナリオは

総選挙後に想定されるEU離脱をめぐるシナリオは、保守党が過半数を獲得できるか否かで大きく変わります。
保守党が単独で過半数を獲得した場合は選挙後、すみやかにEUからの離脱に必要な法案の審議に入り、来年1月31日に離脱が実現する見通しとなる。

その後は急激な環境の変化を避けるため来年の年末まで設けられたおよそ1年間の移行期間に入り、各国との自由貿易協定の締結などに向けた交渉に入る。

ただ交渉は難航する可能性もあり、移行期間のうちに協定が結べなければ1年後に再び経済的な混乱を招くおそれがある。

一方、保守党が過半数を獲得できなかった場合は「ハングパーラメント」、「宙づり議会」と呼ばれる、選挙前と同じ状態に陥ります。保守党はほかの政党と協力しなければ議会で法案などを通すことができなくなりますが、いずれの政党もジョンソン首相がEUと結んだ合意に反対しているため、連立交渉は難航することが予想される。

また結果によっては労働党が自由民主党やスコットランド民族党などと連立政権を発足させる可能性も考えられる。

このうち労働党はEUと再度、交渉を行ったうえで新たな合意を結び、そのうえで離脱か残留かを問う国民投票を行うと主張しているほか、他の政党も国民投票の実施を求めている。