安倍総理大臣は、訪問先の中国で韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と会談し、日韓関係悪化の原因となった「徴用」をめぐる問題について、韓国政府の責任で解決策を示すよう求め、両首脳は早期解決に向け、外交当局間の意思疎通を継続していくことで一致した。

安倍総理大臣と韓国のムン・ジェイン大統領による日韓首脳会談は、中国・四川省の成都で日本時間の午後3時すぎから、45分間行われ、30分の予定時間をややオーバーした。

ムン大統領との正式な会談は去年9月以来、およそ1年3か月ぶりとなります。

会談で安倍総理大臣は日韓関係の現状について、非常に厳しい状況にあるという認識を示したうえで「根本原因は、旧朝鮮半島出身労働者問題にかかる大法院判決にある。これは国交正常化の基礎となった日韓関係の法的基盤の根本にかかわる問題であり、韓国が国家として日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけを作るよう求める」と指摘し、韓国政府の責任で解決策を示すよう求めた。

これに対しムン大統領から「この件についての韓国側の立場は繰り返さないが、この問題の解決の重要性は自分としても認識しており、早期に問題解決を図りたい」と述べた。

そして、両首脳は「徴用」をめぐる問題について、早期解決に向け外交当局間の意思疎通を継続していくことで一致した。

また、韓国向けの輸出管理をめぐり、3年半ぶりに日韓の局長級による政策対話が再開されたことについて、ムン大統領は安倍総理大臣に評価していることを伝えた。

そのうえで、安倍総理大臣は来年、東京オリンピック・パラリンピックが開かれることを踏まえ「こういう時だからこそ、議員間の交流、経済界の交流、地域間の交流、国民間の交流、特に若者どうしの交流が重要だ」と述べ、両首脳はさまざまなレベルの交流が重要だとの認識で一致した。

一方、北朝鮮情勢をめぐっても意見が交わされ、安倍総理大臣は「北朝鮮のすべての大量破壊兵器、あらゆる射程の弾道ミサイルの完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄の実現に向けて、引き続き米朝プロセスを最大限、後押ししていくことが重要だ。国連安保理決議の完全な履行を含めて、日米韓が緊密に連携することが重要だ」と述べ、両首脳は、日韓、日米韓の連携の重要性を確認した。

さらに、安倍総理大臣から拉致問題の早期解決に向け、協力を求めたのに対し、ムン大統領は日本の立場に理解を示したうえで、韓国として北朝鮮に対し、拉致問題を繰り返し取り上げ、伝えていることを説明した。

ムン大統領「懸案解決には直接会って対話交わすことがよい」

日韓首脳会談の冒頭、ムン・ジェイン大統領は「両首脳が会うこと自体に両国の国民と国際社会が多くの関心を寄せている。われわれはその期待が何かをよく理解している」と述べ、およそ1年3か月ぶりに開催された今回の会談の意義を強調した。

そしてムン大統領は「両国の懸案を解決するためには直接会って、率直に対話を交わすことが最もよい方法だと考えている」と述べ、懸案の解決には首脳どうしが直接意見を交わす首脳会談が重要だという考えを示した。

またムン大統領は「外交当局と輸出管理当局の間で懸案解決のための協議が進められている。両国が向き合い、早急に賢明な解決策が見いだされることに期待している」と述べた。

韓国「徴用問題は対話で解決」

韓国大統領府のコ・ミンジョン報道官は、24日行われたムン大統領と安倍総理大臣との首脳会談の結果について発表した。

それによりますと、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題について、両首脳は互いの立場の違いを確認したとしています。そのうえで、対話を通じた問題の解決が必要だという点で両首脳が一致したと明らかにした。

また、日本政府が韓国向けの輸出管理を厳しくしたことについて、ムン大統領は、ことし7月より前の水準に早く戻すべきだとして、安倍総理大臣の決断を促し、これに対して安倍総理大臣は、今後も当局間の対話を通じて問題を解決していこうと応じたとしている。

さらに朝鮮半島情勢をめぐっては、両首脳が、日韓、日米韓の緊密な協力と意思疎通が重要だと強調したほか、安倍総理大臣が拉致問題に対する継続的な支持と支援を要請し、ムン大統領は日本側の努力を引き続き支持していくと答えたということです。

1年3か月ぶりの今回の日韓首脳会談について、大統領府の関係者は30分の予定時間を上回るおよそ50分間行われたとして、首脳どうしが対話を重ねて懸案を解決していくことが重要だと強調した。

河村元官房長官「大統領発言 評価できる」

日韓議員連盟の幹事長を務める自民党の河村元官房長官は、記者団に対し「韓国のムン・ジェイン大統領が『徴用』をめぐる問題について早期に解決を図りたいと発言したのは大きなことで評価できる。私は、韓国国会の議長が提出した法案によって解決の糸口を見いだせると思っており、ムン大統領の発言も、そういうことを前提にしたものではないか」と述べた。