新型コロナウイルスの感染が拡大する中、重症の患者を優先して治療する必要があるとして、厚生労働省は軽症や症状がみられない人に宿泊施設や自宅で療養してもらうためのガイドラインを示しました。そのうえで自治体に対し、宿泊施設の確保など準備を進めるよう求めた。

新型コロナウイルスに感染拡大に伴って、東京や大阪など感染者が急増している地域の医療機関は受け入れがひっ迫していて、厚生労働省は重症の患者を優先して治療する必要があるとして、軽症や症状がみられない人については自宅や宿泊施設で療養してもらう体制に移行する方針です。

厚生労働省はこのためのガイドラインを示し、まず、重症化するリスクが高い高齢者や妊婦、基礎疾患がある人などは対象に含めないとしている。

さらに宿泊施設で療養してもらう人は高齢者や医療従事者、福祉や介護の職員と、それぞれ同居している人などを優先するということです。

宿泊施設については都道府県が用意するとし、自治体に対してはホテルや公共施設などを1棟、または1フロア単位で確保したうえで、食事の提供までを含めた人員を確保するなど準備を進めるよう求めた。

一方、自宅で療養してもらう人については、高齢者などと同居している場合は生活空間を完全に分けたうえで、自治体は電話などで健康状態を把握し、症状が悪化した時には速やかに適切な医療機関を受診できる体制を整備するよう求めている。

宿泊施設や自宅での療養生活は?

軽症や症状のみられない人の宿泊施設や自宅での療養生活はどのようなものになるのか。厚生労働省が自治体向けに示したマニュアルなどから見てみます。

宿泊施設

まず、宿泊施設での療養生活については部屋は原則として風呂やトイレ付きの個室とするとしています。ただし、同居する家族も感染して宿泊する場合は同じ部屋でもよいということです。

一方、風呂については入浴時間を調整することができれば共用でもかまわないとしている。

また、宿泊者は時間を区切って部屋から出ることはできますが、建物の外にに出ることはできません。

原則として部屋の中で過ごすことになるため、それぞれの部屋にはテレビやインターネット環境を整えることが望ましいとしている。

食事については原則として朝・昼・夜の3食すべてが個室の前まで届けられ、アレルギーにも対応するということです。

また、ごみは部屋の前から職員が回収しますが洗濯や掃除は宿泊者が自分で行う必要があります。

一方、宿泊者の健康管理については日中は保健師か看護師が施設の中に常駐し、少なくとも1日1回は体温などの健康状態を確認することにしている。

自宅

また、自宅で療養する人についても厚生労働省は対応策を示し、まず、自治体は地元の医師会に委託するなどして定期的に健康状態を聞き取るとしている。

さらに、感染の拡大を防ぐための対策として専用の個室を確保することが望ましいとし、できない場合は同居する人全員がマスクをつけて十分な換気を行うよう求めている。

そして、療養中の人と接する時には1メートル以上の距離を保つことやタオルやシーツ、食器といった身の回りのものは同じものを使わないこと、それに療養している人は家族の中で最後に風呂に入ることなどを求めている。

また、療養している人の世話は基礎疾患がない特定の人が担当することが望ましく、接触したり掃除や洗濯をしたりしたあとは、せっけんで手洗いをするよう求めている。

専門家「必要な対応だが体制作り必要」

感染症対策に詳しい東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「感染者が増え続ける中、医療崩壊を防ぐために必要な対応だと考えている。ただ、はじめは軽症でもその後、重症化するおそれがあるため、自治体などが日々の体調の把握手段や急変した際の連絡方法などを事前にしっかり準備しておくことが重要だ。また、周辺の人たちが感染しないよう施設などの関係者は事前のトレーニングや専門家の講習などを受けることも求められる」と話していた。

そのうえで、賀来特任教授は「療養中の患者は『重症化してしまうのではないか』など不安も多くなるとみられる。体調を管理するだけでなく心のケアなど総合的な取り組みが必要で早急な体制作りが必要だ」と指摘した。