新型コロナウイルスの感染拡大で、重症の患者が増えるのに備え、国内のメーカーの間で人工呼吸器などを増産する動きが出ている。

東京の医療機器メーカー、コーケンメディカルは、福島市にある工場で先月から人工呼吸器を増産している。

ふだんは月に30台から50台、年間で350台程度の人工呼吸器を生産していますが、現在は工場をフル稼働させ、生産量を2倍程度に増やしている。

この会社の人工呼吸器は、主に救急車の車内で使われていますが、肺炎などで肺の働きが弱まった人の呼吸を整えるためにも使えるということです。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、会社には海外からも輸入したいという引き合いが急激に増えていますが、国内向けで手いっぱいだということです。

コーケンメディカルの松井英一社長は「医療機器に携わる企業としてできるかぎり増産に対応したい。さらに生産量を増やすには部品の調達が課題になるため、政府の協力も得られるとありがたい」と話している。

国内のメーカーの間では、人工呼吸器のほか、血液中に直接、酸素を送り込み肺の機能を一時的に代行する人工心肺装置「ECMO」を増産する動きも出ていて、医療機器大手のテルモは、通常の年間の生産台数、約100台を数か月で生産できる体制にした。

このほか、医療機器メーカーの泉工医科工業も「ECMO」の生産量を通常の1.5倍に増やしているということで、さらなる感染拡大に備え、企業が対応を急いでいる。

部品調達や人材確保が課題

日本呼吸療法医学会と日本臨床工学技士会によりますと、ことし2月時点で、人工呼吸器は全国の主な医療機関に2万2000台以上あります。

この時点では、必要とする患者が少ないため、全体の60%は使われず待機している状態でしたが、新型コロナウイルスに感染した重症患者が増加すると、人工呼吸器が足りなくなるおそれも指摘されている。

また、国内で使用される人工呼吸器は海外からの輸入が9割以上を占めていて、世界的に装置が不足する中、国内で確保することが大きな課題になっているということです。

このため政府は、人工呼吸器や「ECMO」と呼ばれる人工心肺装置の増産をメーカーに呼びかけていて、新たに設備投資をする際には補助金を出す方向です。

一方で、国内メーカーの間からは、大幅な増産のためには部品の調達とともに、生産のために必要な専門的な知識や経験を持った人材の確保が必要になるとの声が出ていて、こうした課題をどう解決するかが重要になりそうです。