新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備え、厚生労働省は、相談や検査の体制を来月中に大きく変えることにしている。

現在、検査を受けたい人は、原則、保健所に電話で相談し、「感染の疑いがある」と判断されると、検査に対応できる医療機関などを紹介されることになっている。

しかし、秋以降にインフルエンザが流行すると、発熱した患者からの相談が急増して、保健所が対応できなくなるおそれがあるため、原則、診療所で相談を受ける体制に変更される方針です。

新しい体制では、まず地元の診療所のかかりつけ医などに電話で相談してもらい、相談先が分からない場合は保健所などでも相談を受け付ける。

相談先の診療所が検査に対応できる医療機関として、都道府県の指定を受けていれば診察を受け、医師が新型コロナウイルスへの感染の疑いがあると診断した場合インフルエンザと合わせて検査を受けられる。

相談先の診療所が都道府県の指定を受けていない場合は、指定されている別の診療所などを紹介される。

診療所の院内感染防ぐには

一方、診療所が指定を受ける上で課題となるのが院内感染をどう防ぐかです。

厚生労働省は多くの発熱患者に対応する方法として、車に乗せたまま検体を採取する「ドライブスルー方式」を導入したり、駐車場などに設置したテントで検査をしたりすることを勧めている。

また、発熱患者と、それ以外の患者で診療時間を分けたり、ほかの診療所と輪番制で診療したりすることも挙げている。

厚生労働省は来月中に、体制を整備するよう都道府県に求めていて、指定を受けた診療所には検査キットの配布や助成を行う方針です。

また、指定を受けた診療所は、地元の医師会などの同意があれば、自治体のホームページなどで名前が公表される。

しかし、都市部の自治体によりますと、診療所からは「公表されると発熱患者以外来てくれなくなる」とか「院内感染を完全に防ぐのが難しい」といった声が上がっているということです。

厚生労働省は「できるだけ多くの診療所が検査を実施してほしい」としていますが、指定を受ける診療所がどこまで確保できるかが課題となっている。

専門家「保健所の負担軽減のきっかけに」

来月から新型コロナウイルスの相談や検査を地域の診療所が担う見込みとなっていることについて、日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は「秋冬のシーズンを迎えると、発熱の患者は確実に増えてくるが、多くが普通のかぜの人のはずなので、保健所だけですべて対応することは現実的ではない。開業医の力を借りることで、深刻な状態が続いている保健所の負担が軽減されるきっかけになるはずだ」と述べた。

その一方で、感染防護対策などで、診療所の負担が増えることや、新型コロナウイルスへの不安から「受診控え」が起こるのではないかという懸念については、「鼻の奥深くではなく、入り口付近の検体での検査が認められたことで、患者が自分で採取できるようになった。このため、診療現場の感染防護対策がかなり楽になるのではないかと考えている。また、これまでの知見からマスクを着けてあまり会話をせず、密な環境を避ければ、室内でも感染リスクはそれほど高くならないことが分かってきた。診療所が対策をしっかり取るのと同時に、患者の側も正しく理解してもらい、必要な場合はためらわずに受診してほしい」と話している。